『ネコミミメイドの憂鬱』 作:よぉげるとサマー
Aguhont Story Record 外伝
『ネコミミメイドの憂鬱』
作:よぉげるとサマー
10分
【登場人物】
ギャギャギャリアン・ヴェルナヴァンド:タングリスニ軍部所属の、何を考えてるのか分からない快楽主義マッドサイエンティスト。人間でありながら、人間離れした生体改造を行っている。元はマリシ軍部所属だったが、今はいろいろあってタングリスニに従属している。ギャギャギャリアンが名前だが、響きがキモすぎて呼んでもらえず、ヴェルや博士などと呼ばれることが多い。
ネコ:マリシ軍部所属の暗殺・諜報担当のアンドロイド。義体を複数乗り換えて行動する。基本的に無口だが、喋るのは嫌いじゃない。戦闘や任務はやり甲斐があればある程、テンションが上がる。
【本編】
ネコ:
おいっ! ヴェル!
ヴェル:
なんですかぁ、うるっさいなぁ……いま、ようやく核分裂がひと段落して来たんですからぁ、邪魔しないでくれませぇん?
ネコ:
こ、こ、これは、どういうことだ!
ヴェル:
はぁ? 何がですかぁ?
ネコ:
この、義体のことだ!
ヴェル:
あぁ……いや、前の義体を持ち帰る余裕も、似たように作る余裕も無かったのでぇ、ある物で済ませただけですよぉ。
ネコ:
だとしても、この顔と、衣服は何の嫌がらせだ!?
ヴェル:
嫌がらせってぇ……失礼ですねぇ。義体とマッチする服をオーダーしてあげたんじゃないですかぁ。どちらかと言えば、親切心ですよぉ。
ネコ:
どこがだっ! 私の潜入用義体でも、こんな……こんな見た目を使ったことは無いぞ!
ヴェル:
知りませんよぉ……良いじゃないですかぁ、ネコ耳、可愛いんですからぁ。
ネコ:
お前……こんなのが趣味なのかっ!?
ヴェル:
ちょおっ! 人聞き悪いですってぇ! 最近、タングリスニに来てから、色々な職人とコラボして物を作ってるんですよぉ! その一環で、人形師の方と義体を作った時に、その方が美少女型にして、ファッションデザイナーにわざわざメイド服を作らせたんですぅ!
ネコ:
そんなもんを私の義体にするなっ!
ヴェル:
仕方ないでしょー、お金が無いんですよぉ!
ネコ:
そんなくだらないコラボに、金を使ってるからだろう!
ヴェル:
へぇーんっ! コラボは、国発信のプロジェクトですぅー! 私のお財布から出てる訳じゃ無いんですよぉーだっ! だから使わなくても金が無いんですぅー!
ネコ:
そんなこと堂々と言うなー!
ヴェル:
どぉーあがいてもぉ、しばらく、そのままですよぉ。その義体は見た目と裏腹に、戦闘特化の義体で装備がふんだんに仕込めますからぁ……君向きでしょう?
ネコ:
この、無駄な家事補助プログラムの数は何なんだ?
ヴェル:
知らないですよぉ……なんか、人形師の方曰く、「メイドロボとは、戦闘と家事を完璧にこなさなければならない」そうで……。
ネコ:
どこのメイドの話なんだ……。
ヴェル:
わかりませんよ、そんなことぉ。
ネコ:
あと……この、クソみたいな人格変更データは何でついてる?
ヴェル:
あぁ……ポンコツメイドですねぇ。
ネコ:
これに切り替わると、どうして完璧にこなせる筈のプログラムが、全部ランダム成功になるんだっ……しかも、口調や性格まで……これじゃあ眼鏡の外れたクロナじゃないかっ!
ヴェル:
まぁ……なんか、それも人形師の方曰く、「メイドロボとは、ポンコツであればあるほど可愛い」とか……。
ネコ:
碌でも無い……!
ヴェル:
とりあえず、切り替えなきゃ良い、それだけですよぉ。色々妥協すれば、性能は良いんですからぁ、私が作ったんだしぃ。
ネコ:
……目を瞑らなければならない部分が多いが……確かに、戦闘性能は良い、な。
ヴェル:
まあ、マリシに破棄して来た諸々の義体とかパーツは残念でしょうがぁ、しばらくこっちで働けば、君が好きな形に戻せるでしょう。
ネコ:
屈辱だが……しばらくは、我慢か。
ヴェル:
そうです、我慢我慢。ちなみに、メイド服の着脱は、合理的な理由が無ければ却下されますからねぇ。
ネコ:
は?
ヴェル:
あと、衣服やスキンを意図して壊す行為もロックされてますのでぇ……我慢してくださいねぇ。
ネコ:
……殺す。
ヴェル:
あっはっはーっ、味方登録されてるので、私も施設も攻撃不可ぁーっ!
ネコ:
ぐぅぅぅぅ!
ヴェル:
わぁ、綺麗な、ぐぅの音ぇ。じゃあ、用が済んだなら、出てって下さぁい。それともぉ……お掃除でもしてくれますぅ?
ネコ:
クソが! 敵になったら、真っ先に殺してやるからなぁ!
ヴェル:
……ひっどい捨てゼリフぅ。……はぁ……可哀想な私。
ー*ー*ー*ー*ー*ー
自作の声劇台本まとめ
https://note.com/gestalt_summer/n/n258ee3e888bb
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