『電話』 作:テトミヤ

【CHARACTER】

ケッ︰ケット・シー(♀)。猫。いつもそんな気分。

リャ︰リャナンシー(♀)。胸。純心どすえ。

プー︰プーカ(♂)。犬。巻き込まれいきり。

  

【STORY】

『口は災いの元』


ー世間はそろそろハロウィン。

ー準備が進む会社の喫茶スペースでケット・シーが休憩中。


ケッ「ふふ!

本当に、皆準備に大忙しみたいニャねぇ」


ースペースで寛いでるケット・シーを休憩に入った部下リャナンシーが発見。


リャ「姉さーん!」

ケッ「あらリャナンシー。お疲れ様ニャ」

リャ「お疲れ様です!皆浮足立ってますね!」

ケッ「そうねぇもう1週間切ったから準備に余念がない感じニャねぇ」

リャ「あれ…?

あの、なんかのんびりしてますけど、姉さんは参加しないんです?今年のハロウィン。」

ケッ「私は、そうねぇ…

去年一昨年とニャかったじゃない?無いの楽だなぁって思っちゃってねぇ…

ほら、色々考えるじゃニャい?今年の流行りは何かーとか、どこまでするかーとか?」

リャ「ああ!露出の割合的な?」

ケッ「私はそういうの関係ないニャねぇ…そういうのはあんたの方がしてるじゃない」

リャ「私はほら、男好きなんで!釣るためには出せるとこ出しますよ!」

ケッ「自分で言うんじゃニャいわよぉ捕まらないように気を付けニャさいよ?」

リャ「いざとなったらチャチャッとキュキュッとしちゃうんで!大丈夫です!

へへー姉さん優しい好き大好きー!ぎゅーっ!」

ケッ「ほらほらくっつかニャいの!

あんた私の毛並みが好きなだけじゃニャい…

プーカとかで妥協しなさいニャ」

リャ「プーカ?!嫌ですよ!

あいつこの前何言ってきたと思います?」

ケッ「あらぁ…

プーカは…嫌?

ええと、この前?何かあったニャ?」

リャ「あったんですよー聞いてくださいよー

久々にレプラコーンのとこで見かけて、しばらく姿見かけなかったから声掛けたんですよ」

ケッ「あー確かに会社では見ニャかったわね

…あれ、あんた仲良かったっけ?」

リャ「同僚だから!です!隣の席のエサソンちゃんが!心配!してたんで!」

ケッ「あぁ、エッちゃんねぇ

この前会った時に聞いたら、今年もキノコドレスにするんですぅって良い笑顔で話してくれたニャ」

リャ「ああ…毎年、毒とかフェロモンとかの菌糸を撒き散らかして問題になるっていうあの…

まぁ、ある意味傑作ですもんね…」

ケッ「意外と人気あるらしいニャよ?一部の界隈で」

リャ「一部の界隈…とは…?

…あ!で!聞いたんですよ!体調でも悪かったのか?って!そしたら!」


ー数日前。

ーレプラコーンの店内にて。


リャ「あら?プーカじゃない」

プー「リャナンシーか

お前相変わらず…布が少ないな」

リャ「ご挨拶ね!私の趣味なんだから良いでしょ!」

プー「お前ほど露出してるやつは他に居ないぞ?」

リャ「居ないからって何!?

これがうちのスタイルや!

あんたに言われる筋合いないわ!」

プー「はは、また訛出てるぜ?普段は誤魔化してても興奮するとすーぐお国言葉になるなぁお前!」

リャ「なっ!そんな事ないわよ!

あんたこそすーぐ私に突っかかってくるじゃない?余計な事ばっかり言ってないでマトモな会話しなさいよ!」

プー「マトモなってお前なぁ…」

リャ「っつーか、あんた最近会社来てなかったけど、風邪でも引いてたの?

何とかは風邪引かないとか言うけど(迷信だったのねぇ!)」

プー「(被せ気味に)はぁん?何、お前、そんなに俺のこと気になってたのか?」

リャ「…は?」

プー「はっマジ受けるんですけど

しょうがねぇなーすぐ俺に頼ろうとして捜す癖、いい加減直したらいいんじゃねーかー?」

リャ「はぁ?!あんた、何言って…」

プー「常に手伝えるわけじゃねーし。俺居ないと出来ないとか赤ちゃんかよってなるからな。

ま、俺は仕事ができるからちゃーんと期限前に自分の分終わらせて、他をサポートする時間を持ててるわけよ。でもだからって毎回お前の仕事こっちに回すんじゃねーぞ?」

リャ「…はぁあ?!毎回なんてしてないやないの!」

プー「お前ケット・シーの第一の部下なんだろ?俺より出来て当たり前って顔してるが…先月は如何だったかねぇ…

あ、俺が成績トップだったわーま、当然の結果だけどな?」

リャ「…っ!!!!!」


ー現在。

ー休憩所で話し中のケット・シーとリャナンシー。


リャ「って!プーカのやつ!言いやがって!」

ケッ「…あらぁ」

リャ「うわぁあああ腹立つううう!!!

そんなにあんたに頼りきってあらへんわ!!!赤ちゃんちゃう!!あんたが遊び歩いとる間ばっちり自分の仕事こなしてるわい!

確かに助けてもらった事もあるけどそんなんほんの僅かやん!

あんたの脳みその方がマジ沸いてるさかい病院行ってこいや!!!

んーもう!こう叫ばなかったうちえらい!

めっちゃくちゃえらい!!!

うち超えらくないどすか?!ほめて姉さん!!」

ケッ「はいはいあんたは単純バカで良い子だニャー

なーでなーで」

リャ「くっ単純アホって言われる!そやけどなでなで嬉しい!」

ケッ「よーしよーし」

リャ「んぅぅ!素晴らしい毛並みでのなでなで最高どすえー!これぞ癒しどすえー!!」

ケッ「いつでもそういう気分でいなさいにゃー」

リャ「…はっ!うっかりしっかりウットリしてましたわ!!

コホン!まぁそれでですね、実際は病気とか怪我とかじゃなくて、単純に有給使ってエイジアの方に行ってたっていうんですよ。

しっかしまぁ当然かもですけど土産もあらへんし!無駄に絡まれるし!最悪!!」

ケッ「イライラしてるとシワが増えるニャよぉ」

リャ「ぐぬぬぬ…心配してるこっちばっかりイライラしてほんま!もう!最悪!!」

ケッ「ほんとそれだと性格悪いわよねぇ…でもあの子イケメンで通ってるわよねぇ世間では」

リャ「姉さんまでぇ!」

ケッ「ま、私の中のイケメンとは違うから、あんまり気にしてないんニャけどねぇ」

リャ「え、そうなんです?でも姉さんあいつに結構好かれてるじゃないですかー

色々なんか持ってきたりもしてるんでしょう?」

ケッ「ああ、この前エイジアのお土産貰ったニャよ」

リャ「あああああ!!それってそれって!!!もおおお何よこの温度差ぁ!!!」

ケッ「酷い事も言ってこないし、基本的には良い男ムーブで来るニャ」

リャ「うちにはいっつもツンなのに!」

ケッ「デレて欲しいニャ?」

リャ「えっ」

ケッ「リャナンシー、あなたプーカにデレて欲しいニャ?」

リャ「えっ…?あっ…いや…

そういうわけ、では…」

ケッ「違うニャ?」

リャ「え、え…」

プー「えっ!!!」

リャ「ふぁ!?…ん、あれ、今声しませんでした??誰??」

ケッ「んー?気のせいじゃニャい?

それにしてもプーカも駄目ニャねぇ…あの子素直に物事を受け取らないのよねぇ

そんなんだから本命の子に嫌われちゃうのニャ」

リャ「えっ!ぷ、プーカって好きな相手居るんですか?!」

ケッ「居るニャよー?すごーく好きな割に相手にツンケンしちゃうから、その子に嫌われてるみたいニャのよー」

プー「ゲホゲホっ!!」

ケッ「馬鹿な子よねぇふふふ」

リャ「なんかまた聞こえる…」

ケッ「工事の音かしらねぇ」

リャ「そ、うなのかな???

っていうか、プーカ、そうなんですねぇ…そっか…

ツンケン、かぁ…その子と友達になれそう…

プーカ、顔は良いのになぁ…」

ケッ「友達は無理かもしれないけどニャ

あら、プーカはあなたの好みの顔ニャの?」

リャ「あっ!えー…えっと…!プ、プーカには言わないでくださいよ?!

…はい。同期で入った時に、カッコ良いなって思って…仕事も、色々大変なプロジェクトの時も皆に声掛けたりしてぐんぐん引っ張っていくし、ちょっと、なんていうか憧れもあって。

その、良いなぁってところからだんだん、好きだなぁって」

ケッ「あら」

リャ「あんなにイケメンなのに彼女いるって話も聞かないし、もしかしたら私にもチャンスあったりしないかなって思ったりもしたんです」

ケッ「あらあら」

リャ「けど…でも!

同期だからってめちゃくちゃ態度悪いし!!口も悪いし!!

もーなんか冷たいっていうんどすか?!気を使ってもらえないーいうか!あ、他の子にはそんな事無いみたいどすえ!うちは知りまへんけどな!」

ケッ「あらあらあらー」

リャ「そういう特別は要らないんどす。優しい方向の特別が良いんに、ほんと、全然優しない…

周りから優しい爽やかイケメン認定されてるん納得行きんせん…」

ケッ「あらぁ…」

リャ「私何かしましたかね…何言っても否定されるん辛いわぁ…

うちの言葉だけ全然響いてないんどす。聴く価値ないって思われとるんやろか…

悲しいどすなぁ」

ケッ「んー相手にそう思わせてるってのは常識の範囲を超えてるニャねぇ

…ねぇリャナンシー?そしてプーカも。

丁度良いからここでちゃんと話し合ったらどうニャ?」

リャ「へ?」

ケッ「プーカは今からすぐここに来るニャ!

じゃなかったらプーちゃんの子供時代の事をどんどんリャナンシーに教えていっちゃうニャよぉー

今の私はそういう気分ニャー

あることない事混ぜ込んでー色々お話しちゃうニャよぉー?」

リャ「あの、姉さん??」

ケッ「ごめんねリャナンシー

さっきあなたが来る前までプーカと通話してて、今もつながっているのニャ

ほら、ね?通話中ー

あの子、私の息子なのよねぇ」

リャ「は?!姉さんって人妻…?!

いや今はそっちじゃなくてぇ…!ええとー?姉さんとプーカがご家族…?」

ケッ「ええ」

リャ「はぁ…それで、お土産とかもやり取りしてたんですねぇ」

ケッ「そうニャの」

リャ「で、今さっきも話してて?ええとー?通話、切ってない…?」

ケッ「ふふ、ごめんニャさいねぇ」

リャ「と、いうことは…??」


ー慌てて走ってきたプーカ到着。


プー「ケット・シー!!!ちょっと!何言おうとしてんの…!?」

ケッ「リャナンシーと話し始めたのが聞こえてるのに通話を切らないプーちゃんが悪いニャ」

プー「うっ…それはそうかもしれないけどさ…」

ケッ「それにプーちゃんから聞いてるのとリャナンシーが話してるのと差があるニャ」

プー「ケット・シー!!ここでその呼び方はやめてよ!会社なんだよ!?」

ケッ「プーちゃーん?好きならちゃんと言うべきことをしっかり言いなさいニャー

そして言わなくていい事は黙ってなさい。あんたの父さんを見習いニャさーい?」

プー「ぐっ…だからぁ!家の事をここで言わないでよ…!

ゴホンッ!…リャ、リャナンシー」

リャ「…っ!な、なに、よ」

プー「あのさ、俺はきつい事を言いがちだったかもしれないけど、そんなにお前に酷い事言ってなかったと思うし、そんなつもりも(なかったんだ…)」

ケッ「プーちゃんがどう思ってたかなんて関係ないニャー

受け取り手がどう感じたのかの話なのニャ

そんなのは言い訳にしかならないんだから考えを(改めなさいニャー)」

プー「ママ!わかってる!わかってるから!!もー今は黙っててよ!!!

あーええと…リャナンシー?その、改めて色々謝りたい

それから、ちゃんと話がしたい」

リャ「う…っ!レアプーカやん…!

しょ、しょうがないどすなぁ…」

プー「良かった…ありがとう(良い声)」

リャ「はぅっ!イケメンの笑顔がきっついどすえー!!!

え、ええ顔してもそんな簡単に許す思ったら大間違いやからね?!」

プー「はは!なんだいそれ」


−満足そうに見守るケット・シー


ケッ「あらあらうふふ!

リャナンシーもプーカもお互いにちゃーんと話して、楽しいハロウィンを過ごしなさいニャ!

二人で末永く、ね!

あー良い事した気分だにゃぁ!」



おわり