『押し入れ』 作:りんりん

【CHARACTER】

エサソン  

ケット・シー

  

【STORY】

ー-エサソンの部屋。押し入れでケット・シーが寝ている。駆け込んでくるエサソン。

エサソン: ケット・シー、ケット・シー、ケット・シー!!!

ケット・シー: どうしたニャ、エサソンくん。

エサソン: 助けて!  プーカが僕のキノココレクションを馬鹿にして、壊そうとするんだ!!

ケット・シー: 自分でなんとかするニャ。

エサソン: 無理だよ! 僕じゃ、かないっこないよ! いつもみたいに助けてよ、ケット・シー!

ケット・シー: しょうがないニャ〜。ニャララララッニャニャーン!!  猫の手〜〜〜。

エサソン: これは何?

ケット・シー: 見ての通り、完璧な猫の手ニャ! これをプーカに見せれば、プーカは対抗して動物に変身するはずニャ! そうしたら、もうキノコなんてどうでもよくなるニャ!!

エサソン: はにゃ〜♪  ありがとう!! さすがケット・シー! 頼りになる〜!

ケット・シー: どうってことないニャ! ニャッハハハハハハ!!

ー-エサソンの部屋、押し入れでケット・シーが寝ている。

エサソン: ・・・ト・シー、ケット・シー!!!

ケット・シー: ニャ!?

エサソン: 起きてよ、ケット・シー!!

ケット・シー: あー、なんだ、夢ニャ・・・。

エサソン: もう〜、勝手に押し入れに入らないでって、いつも言ってるじゃない。

ケット・シー: ニャにをいう。 全ての猫の憧れ、押し入れ暮らし、主食どら焼き、悪そなやつは大体友達を止める権利はエサソンにないニャ。

エサソン: なに言ってるの? そもそも、僕の押し入れだから。

ケット・シー: 知ってるニャ!!

エサソン: 逆切れ!?

ケット・シー: ニャニャ〜ン。だってニャ~、エサソンの押し入れの中で、エサソンのお布団の上で寝ると、素敵な夢が見れるのニャ〜。

エサソン: え、そうなの?

ケット・シー: そうニャ、エサソンは特別ニャ。優しくてかわいくてみんなのアイドルニャ。子分たちもそう言ってるニャ。

エサソン: そ、そんなこと、ないけど・・・?

ケット・シー: そんなことあるニャ! わがはいがこの場所を確保するまでには、よそ猫たちとの壮絶な戦いがあったのニャ!! 特別なエサソンの特別な押し入れは快適で最高ですんばらしいところニャ!!!

エサソン: はにゃ〜♪  そこまでいうなら、しょうがないな。ちょっとくらいなら寝てもいいんだからね!

ケット・シー: ・・・ちょろいニャ。

エサソン: なんか言った?

ケット・シー: 何でもないニャ。おかげでよく寝られたから、そろそろ失礼するニャ。

エサソン: え、そうなの?

ケット・シー: そういう気分ニャ。また来るニャ。

エサソン: ふーん、じゃあ、またね。・・・あれ?

ケット・シー: どうしたニャ?

エサソン: このお布団、ケット・シーが寝てたとこ、なんか・・・湿ってる?

ケット・シー: ニャ!? おねしょなんかしてないニャ!!

エサソン: それになんか・・・生えてる。

ケット・シー: 生えてる・・・?

エサソン: あ! ぁぁぁあああああああ!!!!!

ケット・シー: なにごとニャ!!!?

エサソン: キ、キ、キノコ!!!  キノコキノコキノコキノコー!!!!

ケット・シー: ニャニャ!?

エサソン: なんだコレ!? 見たことないキノコ!! くんくんくんくん!! 知らない香り・・・知らない形・・・知らない模様・・・!! くんくんくんくん!!! なんだコレ! ケット・シー! なんだコレ!!

ケット・シー: し、知らないニャ!!

エサソン: こ、これ、食べられるかな・・・食べていいかな・・・!

ケット・シー: わがはいに聞くなニャ!!

エサソン: 食べて・・・みよう・・・かな・・・・・・パクッ。

ケット・シー: 食べたニャ!?

エサソン: ・・・・・・。

ケット・シー: ・・・・・・。

エサソン: ・・・・・・ぅおいしぃぃぃいいいい!!! ケット・シー!! これおいしいよ!! 食べてみて!!

ケット・シー: いやニャ!! わがはいの下から生えてきた謎のキノコなんて食べたくないニャ!!!

エサソン: はにゃ〜♪  じゃあ、ぼく、全部、食べていい!?

ケット・シー: 好きにするニャ!

エサソン: パクッ! はにゃ〜〜〜〜♪  パクパクッ!! はにゃはにゃはにゃ〜〜〜〜♪

ケット・シー: 目がやばいニャ。とっとと逃げるニャ。

エサソン: ガシィッ!! つかまえた♪

ケット・シー: ひぃっ!!!

エサソン: はにゃ〜♪  ケット・シーちゃん。どこにいくのかな〜?

ケット・シー: もう用はないニャ!! ばいばいニャ!!

エサソン: 君になくても僕にはあるんだよ。ふ、ふ、ふ。

ケット・シー: は、離すニャ!! なんぴとたりともわがはいの自由を妨げることはできないニャ!!

エサソン: 僕の押し入れ、最高だって言ってくれたよね? ありがとう。これからずーーーーーっと、永遠に、僕の押し入れで、僕のお布団で眠っていいからね?

ー-エサソン、ケット・シーを押し入れに投げ入れる。

ケット・シー: ニャーーー!!

エサソン: バタン!! 押し入れの戸を閉める音!!!

ケット・シー: だ、出すニャ!! 悪かったニャ!! もう二度と勝手に寝ないニャ!!

エサソン: はにゃ〜♪  何言ってるの? 君はこの中でおいしいキノコを生やしつづけるんだよー?

ケット・シー: そんなの無理ニャ!! 助けてくれニャ!!

エサソン: うふふふふふ。はーやく生えろ♪  おいしいキノコー♪

ケット・シー: だめニャ、完全にトリップしてるニャ・・・。うん?  おしりの下にニャにか・・・キ、キノコ!? 布団からキノコが生えてきてるニャ!!

エサソン: はにゃ~♪ 大きくなあれ♪  大きくなあれ♪

ケット・シー: ひっ、どんどん大きくなってくニャ! このままじゃつぶされちゃうニャ! エサソン、ここを開けるニャ!

エサソン: はにゃ~♪ おいしくなあれ♪ おいしくなあれ♪

ケット・シー: ニャ!? キノコが燃えだしたニャ! 熱いニャー!

エサソン: はにゃ〜♪  焼きキノコっておいしいよね〜。

ケット・シー: 助けてニャーーー!!! エサソン、消火するニャ! 水をまくニャ!! ニャニャニャニャー--ン!!!

ー-エサソンの部屋。押し入れでケット・シーが寝ている。

エサソン: ・・・ト・シー、ケット・シー!!

ケット・シー: ニャ!? ひっ、エサソン!?

エサソン: 大丈夫? うなされてたみたいだけど。

ケット・シー: な、なんでもないニャ。

エサソン: キノコがどうとかって。

ケット・シー: なんでもないニャ!

エサソン: まあ、いいけど。押し入れで寝るときはひと言いってほしいな。

ケット・シー: 悪かったニャ。もう二度と入らないニャ。

エサソン: そこまで言ってないよ。

ケット・シー: さらばニャ!

エサソン: あ・・・行っちゃった。気まぐれだなあ。ふぁああ、寝てるケット・シー見てたら眠くなってきちゃった。僕もお昼寝しようかな。お布団お布団っと・・・あれ? ケット・シーが寝てたとこ・・・なんか、湿ってる?



ー-おしまい♪