『レンタル』 作:野菜

【CHARACTER】

グレムリン  

エサソン

  

【STORY】



県内某所、森林公園にて


エサソン:こんばんは!れんたる、エサソンです!

グレムリン:おお?

エサソン:お困りごとありませんか?エサソン、貸します!

グレムリン:いや、私はケット・シーに人手よこせやって言ったんだが......。

エサソン:ケット・シーさんに頼まれました!

グレムリン:......あー、言っちゃわりぃがよ。おまえ、エサソンの中でも、あー、ガキじゃねえの?

エサソン:おかあしゃにマツタケのプレゼントしたくて、おかね貯めてます!

グレムリン:ええ......子守りとか勘弁してくれよクソ猫。

エサソン:エサソンお手伝い、できます!お代はきの......きのこじゃなくて、おかねでお願いします。

グレムリン:きのこじゃなくていいのか?

エサソン:うっ

グレムリン:本当に?山盛りのきのこじゃあ、ダメか?

エサソン:ぐうぅっ!

グレムリン:おまえ、買い物できんの?きのこもらった方が早くお母さん、喜ぶぜ?

エサソン:きのこでもよしとします!

グレムリン:ちょろいな。

グレムリン:エサソン、おまえにゃ、私の仕事を手伝ってもらう。

エサソン:あい!

グレムリン:大人なお仕事だ......大人の妖精達はなあ、シノギってよぶんだ......

エサソン:ごくり......!

グレムリン:まあ、つっても今宵はハロウィン、おこちゃまにもできるシノギだぜ。

「トリックオアトリート」、言えるか?

エサソン:とりっくおあとりぃと!

グレムリン:おう。それをな、町の大人共に言ってまわれや。それを言われた大人は菓子を出す。その菓子......なるべくガムがいいな。

エサソン:ガム。グレムリンさんがもぐもぐしてるものですか?

グレムリン:そうだ。粒とか板とかあるが......とにかく、お菓子を回収して私に渡すんだ。いいな?

エサソン:あい!......グレムリンさんはどうしてシノギしてるですか?

グレムリン:私がいると機械が壊れやすくなっちまうからなあ。大人しくしてる代わりに、いいもんよこしなってことよ。

エサソン:おでかけガマンしてるごほうびですか?

グレムリン:賢いじゃねえの。んじゃあ、行ってこい!

エサソン:いえっさー!!


秒で、すぐ帰ってくるエサソン


エサソン:グレムリンさん!!

グレムリン:はええよどうした。

エサソン:なんて言うんでしたっけ!?

グレムリン:トリックオアトリート。

エサソン:トリックオアトリート!

グレムリン:トリックオア?

エサソン:トリート!

グレムリン:好きなきのこ料理は?

エサソン:しいたけの煮物!

グレムリン:なんて言うんだっけ?

エサソン:しいたけ!

グレムリン:トリックオアトリートな!?

エサソン:はっ!?そうでしたそれです!

グレムリン:大丈夫かよ?失敗したらキノコは無しだぞ?

エサソン:それは良くないです!頑張ります!

グレムリン:本当に大丈夫かよ......。


エサソン:戻りました!

グレムリン:おう。成果は?

エサソン:おばあちゃ、これくれました!

グレムリン:しょうゆせんべいとのりせんべい......まあ、いいか。

エサソン:えへへ〜。

グレムリン:......ほっぺになんかついてんぞ。

エサソン:えっ、ちゃんとふいたのに!

グレムリン:ウソだよ。......遅いと思ったが、さてはおまえ...

エサソン:ごめんなさい!おばあちゃに煮物ごちそうになってました!

グレムリン:レンタル中に夕飯食ってんじゃねえよ。......それだけか?

エサソン:あう......

グレムリン:言ってみ?

エサソン:ごはんおかわりしちゃいました!

グレムリン:すくすく育ちやがれ不良エサソンめ。まったく、ほらよ。

エサソン:そ、それは!!

グレムリン:鮮度のいいブナシメジだ。次もお菓子と交換にきのこをレンタル料で出してやる。

エサソン:はにゃ、はにゃっ、きのこっきのこっ!!

グレムリン:ハロウィンが終わったらレンタルは終わり。どれだけおまえはキノコを荒稼ぎできるかな?

エサソン:シノギやります!がんばります!

グレムリン:マジちょろいわ。


エサソン:ど、どうでしょか......?

グレムリン:おまえさ、ガムって、知ってる?

エサソン:ひょえ

グレムリン:クッキー、キャンディ、チョコレート、ビスケット。ねえ、ガムは?ガム。

エサソン:なかったですか......?

グレムリン:ちっ、さすがにもらうものは選べねえかー。...............ん。

エサソン:はにゃーー!しいたけ!と、ドクツルタケ!!

グレムリン:なんか、あったからやるよ。

エサソン:はにゃああきのこおおおお。

グレムリン:時間的にそろそろ人も減ってくるだろ。最後のつもりで行ってこい!

エサソン:きのこーーー!

グレムリン:いえっさーじゃねえのかよ。

エサソン:はわ...はわ...(ぷるぷるふるえるエサソン)

グレムリン:......怒ってねえって。

エサソン:ガム、じゃないですよね、これ。

グレムリン:まあ、厳密にはな 。

エサソン:お姉ちゃも「こんなのしかなくてごめんね〜」って言ってたんです。ごめんなさい〜!

グレムリン:これは、私的にはアメなんだが。

エサソン:うう......(ぷるぷる)

グレムリン:こいつは「チューイングキャンディ」だ。

エサソン:どういうことですか??

グレムリン:レンタルお疲れさん。そこのダンボール持ってけ。

エサソン:いい匂いがします!いい匂いが!!はにゃ!!

グレムリン:気をつけて帰れよ。もう来んな。

エサソン:開けてもいいですか!開けてもいいれすか!!!

グレムリン:そんなにキノコ好きだっけ...?おまえだけ??まあ、開けろよ。

エサソン:ひゃあ〜〜きのこいっぱい、いっぱいです〜

グレムリン:マツタケは無いがな。

エサソン:おかあしゃ、きのこ鍋つくるの好きです!ありがとうございます!!

グレムリン:おう。

エサソン:.........。

グレムリン:.........んだよ?

エサソン:ダンボール大きくて、持てません。

グレムリン:だああ!もうしょうがねえなあ!!

エサソン:その年のハロウィンは、公園の近くにきのこの妖精が遊びに来て、

グレムリン:謎の停電ときのこ泥棒が起きたと、ちょっとだけウワサになったらしい。


【〜完〜】