『公園』 作:Alice

【CHARACTER】

デュラハン

頭と身体別々に行動できる。

頭はビビりで、悪気なく発言がひどい。身体はマイペース。

愛馬の名前はジョセフィーヌ。ボケ。

プーカ

馬・山羊・鷲に変身できる。

馬の姿は誰もが見惚れるほど美しく、山羊の角は岩をも砕き、鷲の翼は千里も飛べる。

性格が悪いと思われているが、多分意外と常識人。

ツッコミ。

  

【STORY】

『プーカの受難』

〈in デュラハンの家〉

デュラハン

「プーカ!プーカぁぁ!」

プーカ

「なんだよ、うるさいな」

デュラハン

「いなくなっちゃった…」

プーカ

「いなく…?また身体どっかいったの…

なんだ、身体ならそこのソファで優雅に読書中じゃねぇか

ってか頭ここにあんのに、どうやって読んでんの?見えてるわけ?」

デュラハン

「当然だろう!?見えてないのに本を読むマヌケがどこにいるんだ!

あ…身体、待ってまだそのページまだ読み終わってない…!

ページ捲ら(めくら)ないで…!」

プーカ

「身体に頭がついて行かないとか…、老化か?」

デュラハン

「違うよ!

君と喋ってるから、本の内容が入ってくるのに時間がかかっているだけだ!

君は『僕と喋る』っていう一つの事しかしてないけど、僕は『君と喋る』『本を読む』っていう二つの事をしてるんだ!

すごいんだぞ!?」

プーカ

「すごかねぇよ、どっちかに集中しろや

っつうわけで、俺との会話は終わり」

デュラハン

「わー!わー!待ってよー!」

プーカ

「やだね」

デュラハン

「僕本当に困ってるんだって!君にしか頼れないんだよ!」

プーカ

「知るか」

デュラハン

「わーーーーー!!」

プーカ

「耳元で叫ぶな!

…ったく、仕方ないねぇな

そんなに言うなら…」

デュラハン

「(食い気味に)ガンコナーって実は男もいけちゃうの!?

女の子ばっかり口説いてたのは実は男好きを隠すため!?

こっからまさかのBL!?何その美味しい展開!!

あ!身体待って!!そのページの挿絵もっと見たい!!」

プーカ

「本に反応したんかいーー!!(頭を身体の方に投げ飛ばす)」

デュラハン

「うわーーーーーーーっ!(手が頭をキャッチ、首の上に乗せる)」

プーカ

「お前はそこで大人しくBLでも読んでろ!」

デュラハン

「話の途中でいきなり投げ飛ばすなんてひどいじゃないか!」

プーカ

「まともに会話をする気のないやつが言うな!」

デュラハン

「う…

も…もう!身体のせいだよ!?身体がそんな面白そうな本を見つけてくるから…」

プーカ

「お前…身体と頭、主導権どっちにあるんだよ…」

デュラハン

「そんなの頭に決まってるじゃないか!」

プーカ

「頭の方が身体に弄ばれてる気がするがな」

デュラハン

「そんなわけないだろう

たしかに身体は色んな物に直接触れ…

あーーーーーーっ!!」

プーカ

「うっせぇ!今度はなんだ!?

ベッドシーンか!?好みのBL展開でも始まったか!?」

デュラハン

「そんなことで僕が取り乱すわけがないだろう!?君はバカなのか!?」

プーカ

「その言葉そっくりそのまま返すわ!数分前の自分思い出せや!!BLの話じゃないならなんだ!」

デュラハン

「僕の!愛馬がいなくなったんだ!」

プーカ

「…は?」

デュラハン

「だから、僕の愛馬のジョセフィーヌが、馬小屋にいないんだって!」

プーカ

「あ、そう」

デュラハン

「なんだその反応は!」

プーカ

「散歩にでも行ったんじゃねぇの?

放っておけばそのうち帰ってくるだろ」

デュラハン

「どこかで迷子になっていたらどうするんだ!」

プーカ

「馬なんだから、匂い辿って帰ってこれるだろ」

デュラハン

「大怪我して動けなくなっていたら!」

プーカ

「鳴いて助け呼ぶだろ」

デュラハン

「公園の馬の遊具に一目惚れして、生涯添い遂げる覚悟を決めていたら!?」

プーカ

「馬の遊具連れて帰ってく…るわけねぇだろ!

どんな覚悟だ!それは!!

そんなイカれた覚悟決めてんなら、いっそのこと祝福してやれ!」

デュラハン

「相手は無機物だぞ!?祝福できるわけないだろう!?」

プーカ

「あー…あれ、スプリング遊具っていうんだったか?だいたい、古くて塗装剥げ放題だろう

あんなのの、どこに惚れるんだよ」

デュラハン

「ジョセフィーヌは、相手がどんな姿でも愛する、海のように深い懐の持ち主!」

プーカ

「へー」

デュラハン

「…かもしれないだろう!」

プーカ

「お前は自分の馬にどんな可能性を見出してんだ!」

デュラハン

「可能性は無限大だよ!?」

プーカ

「言葉の使い所、あってるか!?」

デュラハン

「そもそも、あの遊具の魅力は見た目じゃないよ!ゆらゆらと規則正しく揺れ動く妖艶な姿!

あんなもの見せつけられたら、惚れないわけがない…!」

プーカ

「スプリング遊具を妖艶っていうやつ、初めて見たわ…」

デュラハン

「ねぇ、頼むよプーカ

探しに行ってくれないか?」

プーカ

「断る。そんな広い街でもねぇんだ

ケットシーあたりに聞けば、なんか情報持ってんだろ

気が向いたら手下の猫ども使って探してくれるんじゃね?自分で行けよ」

デュラハン

「やだ」

プーカ

「なんで?」

デュラハン

「外、怖い」

プーカ

「はぁ??」

デュラハン

「外なんて危険しかない!

いつ何時身体から頭が転げ落ちて、サッカーボールと勘違いされて弄ばれるかわかったものじゃない…!」

プーカ

「お前な…」

デュラハン

「今度シーオークの店で開かれるハロウィンパーティーだって、僕だけオンライン参加じゃダメかなって思ってるのに!」

プーカ

「シーオークの店、お前の家の隣じゃねぇか

どんだけビビってんだよ…」

デュラハン

「その点、君なら鷲に変身できる!

空からあっという間にジョセフィーヌを探せる!」

プーカ

「だから俺は探さねぇって」

デュラハン

「馬に変身すればその美しい姿で、(塗装を)ハゲ散らかしたスプリング悪女の誘惑から、ジョセフィーヌの目を覚まさせることもできるかもしれない!」

プーカ

「いくら動きが妖艶でも、ハゲ散らかした悪女に誘惑されんなよ…」

デュラハン

「それくらいに君はカッコいい!!」

プーカ

「煽ても(おだてても)俺は…」

デュラハン

「馬の姿の時は!!」

プーカ

「は?」

デュラハン

「え?君の取り柄だろう?

馬は顔、鷲は翼!(悪気はない)」

プーカ

「〜〜!(言葉にならない憤り)

…俺さ、性格が悪いだの、意地悪だの周りのやつらからよく言われるけどよ?

お前のがよっぽど性格悪いわ!」

デュラハン

「僕のどこが性格悪いって言うんだ!僕はジョセフィーヌを愛してやまない、ただのビビリだ!」

プーカ

「自慢げに言うことじゃねぇんだよ!」

デュラハン

「うわーーーーん!プーカのいじわるー!」

プーカ

「誰が意地悪だ!!」

(デュラハンの身体が急に歩き出す)

デュラハン

「ぅえ?ちょ…身体!急に歩かないでよ!どこ行くんだよー」

(窓の外にジョセフィーヌが帰ってきている)

デュラハン

「あれ!?ジョセフィーヌ帰ってきてる!?どこに行ってたんだい!心配したんだよ!」

(頭のサイズほどあるカボチャを、背中に乗せている)

デュラハン

「これは…カボチャ…?

もしかして、ハロウィンパーティーで外に行くのが怖い、って言ってた僕のために…?

これをくり抜いて、ジャックオーランタンにして被っていったら、ヘルメット代わりになって怖くないから…?」

(ジョセフィーヌが頷く)

デュラハン

「なんて優しいんだ!さすが僕のジョセフィーヌ!!

プーカ!プーカ!早く山羊に変身して!」

プーカ

「…なんで?」

デュラハン

「君の角(つの)で穴をあけたら、いい感じのジャックオーランタンができるに決まってるからさ!

山羊の時は、岩をも貫く角が取り柄だろう?」

プーカ

「お前は!俺を!なんだと思ってんだ!!」