『山奥のメリーさんと佐々木』 作:野菜

※読まれる方へ

・( )の中は読まず、演技の参考にしていただければです

・佐々木と田中の声わけは無理して行わなくとも大丈夫です。

・やりやすくアレンジいただいて問題ないです、よろしくお願いします

 (およそ7分くらいなのでゆっくり演技して大丈夫なはずです)



【山奥のメリーさんと佐々木】

作 野菜


(男声推奨、女声の場合は口調など演じやすく改変してください)


あー、それじゃ、佐々木(語り手)、次話します。


これは、もう、その、時効だと思って話すんですけどね。スマホ使ってたくらいには最近のことなんすけど。

俺昔、今じゃ考えられないような、やーさんみたいな、ひどい性格の先輩の変な手伝いをダチとしてたことがありまして。

ほんと、当時はあの先輩に逆らう方が危ないっていうかねえ。


あ、これから話すのはその「ダチだった」奴の話なんすけど。そいつ、まあ仮に田中としますね。田中と2人で、先輩の仕事についてこいって連絡が来まして。で、その日はですね、片思いしてた女が珍しくカラオケの集まりに来るって言うんで、俺、ノリノリでサボったんです。だって、何が悲しくて野郎3人で夜中に廃墟に行かなきゃなんないんだって思いません?


まあ、こっちは楽しかったですよ。何事もなく遊んで、店ハシゴして、帰って朝3時前でしたか。田中から長々と、いくつもいくつも留守電が残ってる。「おまwめんどい彼女かよww」そう笑いながら、明日の話のネタにでもしてやろうと聞いたんです。

たしか、こんな感じでした。


(以降「田中」、あるいは田中のマネ)


「……なあ、……なあ!!なんでおまえ来なかったんだよ!!今日、イトウ先輩と、おまえと俺で、廃墟の電話修理って、聞いてただろ?!

おまえのせいだ。ああ、おまえもいれば、俺は、俺はこんなことには……。

どうしよう、なあどうしよう佐々木。俺、電話に出ちまった。はじめは出るもんかって思ってたさ!廃墟で、こんな電気も水もねえ山奥で電話なんか来るはずがねえ。でもな、鳴るんだよ。ふっるい固定電話が。鳴り止んだあと、見たらコンセントなんか繋がってない。……ドライバー見つけたんだ、だからバラバラにしてやった。もう大丈夫だって、さっさと2階の電話も壊して。

そしたら子供部屋によ、チカチカ光ってるオモチャが落ちてたんだ。暗いんだ。だからしょうがなかったんだよ。持ち上げたら、ぶらーんと、とれたんだ。電話のオモチャが、光ってたんだよ。受話器の部分が取れたら、もう光らなくなった。なあ、これ、2回目の電話に出ちまったって、ことになんのかなあ。なるんだよなあ、きっと。

開かねえんだドアが。窓ガラスにたたきつけた椅子がぶっ壊れた。さっきまで穴だらけだった壁も新築みたいになっちまってる。

なあ、おまえのせいだよ。なあ、なんで。なんで。

なんで、イトウ先輩の死体を捨てたのはこの山だってこと、教えてくれなかったんだよ。俺も手伝った仲間じゃねえか。なんで今日に限ってサボったんだよ。俺一人じゃなきゃこんな、ことに、は……。ガキが。真っ白い顔した、バケモンみたいなのが、さっきからこっちみてる。もう、電話は、今持ってるこれしかねえんだ。話続けないと、最後の電話がかかってくる気がするんだ。

なんで……なんで!!電話に出てくれないんだよ!!」


(数秒間 荒い息遣いやすすり泣き

だんだんと収まってくる)


「ああ、そうだ。」

「電話 を なオさナキ ゃ。」


(最初の佐々木に戻る)


「これで俺の話はおわりです。2人の捜索がもう打ち切られて……何ヶ月ですかね。まあ、タフなやつらなんでしれっと生きてるんじゃないですか。

俺のくらった中で、1番怖かったドッキリの話でした。さて、次の怖い話は誰ですか?」



ー*ー*ー*ー*ー*ー


「演じる方の声質・性別不問、一人称など読みやすくするための微改変OK」