『お化け屋敷』 作:ヨヨ
【CHARACTER】
ガンコナー:妖精。ツッコミが多い
エサソン:妖精? 小人? まとめ役っぽい
リャナンシー:妖精。やさぐれる
レプラ:妖精。
シーオーク:妖精。謎の熱弁をふるう
デュラハン:妖精。出オチ担当
ケット・シー:妖精。台詞が少ない
グレムリン:妖精。台詞が少ない
プーカ:小人? ほとんど馬に化けている
ケット・シー、グレムリン、プーカは兼役推奨かな
組み合わせは自由です
【STORY】
『ハロウィンナイトフィーバー』
プーカ:(M)何者かを決めるのは自分っていうけど
そんなの嘘だって
誰だって知っている
リャナンシー:ピザって十回言って
レプラ:ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ
リャナンシー:ここは?
レプラ:ピザ!
リャナンシー:はーい引っかかった。膝でーす
ガンコナー:おい
リャナンシー:何よ
ガンコナー:……違うぞ? それ。
リャナンシー:どっちが?
ガンコナー:どっちもだよ
レプラ:ピザザピザピザ?
ガンコナー:おいとんでもない後遺症残ったなどうすんだこれ
レプラ:ピザ! ピザザピザピザー
リャナンシー:うーん、そろそろ、来るんじゃない?
ガンコナー:なんで分かるんだよお前は
エサソン:お疲れでーす
レプラ:乙ピザ!
ガンコナー:治ってきた。
リャナンシー:エサソンおつー
エサソン:お待たせです。これ、今日のリストと……エージェントの方からもらってる簡単な情報です。
ちょっと名前とか、具体的な個人情報になるところは直接会ってっていうことなんですけど
レプラ:ピザピザ……どれどれ? これ凄くない? 映画化経験アリ
リャナンシー:やば!! えっジェイソンとか?
ガンコナー:いやいやそれは夢見すぎでしょ
レプラ:日本地元だし貞子とかあるんじゃない?
ガンコナー: いやー無い無い、来て呪怨でしょ。
リャナンシー:こっちも映画ありだって、え、やば、ジョニー・デップ出演、ティム・バートン監督作品!?
ガンコナー:えーやばいやばい。それは絶対ギャラがやばい。内定出しても来てくんないでしょ多分。
レプラ:こっちはゲーム出演ありって。
ガンコナー:あーゲームね。バイオハザードとかかな?
ゾンビだったら強いよね。ゾンビだけでひとアトラクション全然いけますから。
リャナンシー:変身能力ありますって子もいるね
ガンコナー:それいいね、一旦はけてもらってまた別のポイントでとかできるし。
エサソン:はいはいお静かに
上からは当部門の強化が喫緊ということで。
はい、ぶっちゃけ結構詰められてはいます。
即戦力を獲っていきたいということで。
よろしくお願いします。
レプラ:あれ、椅子の数……いくついるんだっけ。まあいっか
ガンコナー:もう呼べるの?
リャナンシー:大丈夫です
エサソン:じゃあお願いします
リャナンシー:皆さんお待たせしました、どうぞ!
グレムリン:失礼します!
ケット・シー:失礼します
シーオーク:失礼します!
プーカ:ひひーん!
デュラハン:どう! どうどう!
……
エサソン:はい、ツッコミは後ほどでお願いします。
ガンコナー:いや無理! 無理だよ!
なんで君、馬乗ってんの?
デュラハン:騎士の亡霊なんで
ガンコナー:騎士も降りるだろ、屋内では!
デュラハン:いやちょっと、愛馬なんで。
ガンコナー:愛馬でも降りるだろ!
エサソン:それでは順番に、お名前と、これまでの経歴を簡単にお願いします。では、あなたから。
ガンコナー:お前よくスルーできんな!
プーカ:ひひーん!
デュラハン:どうどう、あ、デュラハンです。アイルランドの悪しき妖精です。よろしくお願いします。
ガンコナー:お前はスルーすんな! よりによってお前がすんな!
リャナンシー:ガンコナーさん
ガンコナー:?
リャナンシー:シッ
ガンコナー:エーーー?
グレムリン:グレムリンです。イギリスで妖精をやらせてもらってました。(Wikipedia調べ)本日はよろしくお願いします。
ケット・シー:ケット・シーです。アイルランドの猫の妖精です。よろしくお願いします。
シーオーク:シーオークです。アイルランドの妖精です。よろしくお願いします。
エサソン:ありがとうございます。
ガンコナー:なんで妖精ばっか集まってくんのかなあ!
エサソン:ガンコナーさん。
ケット・シー:えっ、妖精は募集じゃないんですか?
エサソン:いえいえ、そういうわけではありませんよ
はい、ありがとうございます。私はね、エサソンと言います、初めまして。今回は御応募誠にありがとうございます、と。今日はね、皆さんを選ぶとかっていうよりはね、まずは初めましてということで、皆さんのことを知りたいし、私どもの仕事や、もしかしたら一緒に働くかもしれない仲間のこともね、よく知っていただきたいなと、思ってます。
リャナンシー:リャナン・シーです、よろしく。
レプラ:レプラちゃんだよ。宜しくね
ガンコナー:ガンコナーです。宜しくお願いします。
4人: 宜しくお願いします!
プーカ: ひひーん!(同時に)
エサソン:とりあえず業務の事をざっくり、ガンコナーさんの方からいいですか?
ガンコナー:アミューズメントパークの体験型アトラクションの運営ですね。キャストもうちでやってるような形になります。屋内型で、お客様が順路を歩かれているところを、まあ我々が色々と、ええ、驚かせていくと。
レプラ:つまり、お化け屋敷!
エサソン:こちらのお化け屋敷なんですが、満足度調査で、お客様のコメントがほぼほぼ、「誰?」で占められております。驚かせてる我々のことがですね、あまりにもどこの誰だか分からなすぎると。
かくいう私も、なんかよくわからん小人なんですね。
リャナンシー:リャナン・シー、エロい妖精やってます
レプラ:レプラちゃんも妖精なのだ
ガンコナー:ガンコナーって妖精です
エサソン:はい、このように、ヨーロッパのなんかよくわかんない妖精ばっかりなんですね。
エサソン:お客様が、お化け屋敷と言ったらね、お岩さんだとか、ゾンビだとか、ドラキュラとか、そういったものを期待していらっしゃるところ、我々も頑張ってはおりますが、どうしてもこう、あのね、モヤモヤしてしまうと。
シーオーク:モヤモヤ。
レプラ:もう、何あれーとか、知らないとか言われるの疲れたよ
リャナンシー:分かります、聞かれたお母さんも知らないわよって答えるの聞いてるときの気持ち
エサソン:一応ハロウィンがテーマなんですが、トリックオアトリートって言うと誰って返されるんですね。そんなわけで営業成績も、はい、ダダ下がりと。
というわけで戦力強化がマストということで、今回募集させて頂いたわけです
レプラ:そしたらまたよく分かんないのが来ちゃったよね
エサソン:レプラさん。
レプラ:だって貞子いないんだもーん
ケット・シー:??
貞子?
グレムリン:えっ、貞子居るんですか怖い
プーカ:ひひーんひひーん!
デュラハン:どうどう! 落ち着け!
ガンコナー:いないですよー安心して下さい
エサソン:あー、一応仲介のエージェントさんから、ざっくりどのような感じの方々に来て頂ける、っていうのを貰ってまして。
その中に、映画経験ありとあったものですから
リャナンシー:ちなみに、映画に出たことがあるっていうのは……
プーカ:ひひーん!
デュラハン:あ、僕あります。スリーピー・ホロウって言って
エサソン:デュラハンさん。
グレムリン:自分も……そのまんまですがグレムリンって映画になりました
エサソン:グレムリンさん。
映画はポイント高いですよねー
知名度が一気に上がりますからね
ガンコナー:デュラハンさん、それ、首切れちゃってるんだね
デュラハン:あ、はい。
レプラ:あー、頭を求めて彷徨ってるみたいな? そんで、遭遇した人間の頭を落として取っちゃう! みたいな?
デュラハン:あ、いえ、首は切れているんですけど、失くしてはないので……
ガンコナー:え、そうなの? じゃあいまは?
デュラハン:あ、すみません、今日はちょっと、家に忘れてしまって。すみません。
ガンコナー:お、おう
エサソン:本日は大丈夫ですが、もし採用の場合、頭部なしでは欠勤扱いなのでご注意ください。
ガンコナー:急に厳しいな
エサソン:そりゃあそうでしょう、完全には来ていないわけですから
ガンコナー:だいたい来てるけどなあ!
デュラハン:すみません! 気を付けます!
リャナンシー:私この、ゲーム出演ってのが気になってるんですけど
エサソン:あーありましたね。これは……?
ケット・シー:はい、私です。ファイナルファンタジーっていうんですけど
リャナンシー:ファイナル?
ケット・シー:ファイナルファンタジー。
ガンコナー:え、あ、ホラーではないんですね
ケット・シー:ないですね
ガンコナー:人を怖がらせたりとかは…
ケット・シー:ないですね
レプラ:ゾンビじゃないんだー
ケット・シー:ないですね
エサソン:えーまあ、ともかくですね、集まってくださったみなさんと我々で、最恐の、お化け屋敷として新生をしていきたいと、そういうわけで
リャナンシー:いや無理だろ
みんな:?
リャナンシー:無理だろ
エサソン:リャナンシーさん?
急にどうしました? 展開が雑ですよ?
リャナンシー:だ・れ・な・ん・だ・よ
誰? 誰? 誰? 誰?
グレムリン? あのな、まず、お前の、映画が、古い。普通に知らないだろみんな。12時超えると暴れるとか。しかも12時って遊園地閉まってるからね? 設定がプラスになってないんだわ。
そもそもお前、あの映画のグレムリンじゃないよね?
ケット・シー!
ケット・シー:ひぃ!
リャナンシー:ファイナルファンタジーに出てます? うん、まずその主張が要審議なんですけど、一旦良しとしましょう。しましょうか。
で、その経験がこのお化け屋敷での業務にどう活かせるとお考えでしょうかあ?
デュラハン!
デュラハン:は、はい……
リャナンシー:うん、お前はさ、首が切れてんのは中々いい線いってる。この、斬れ味が磨製石器なメンツの中では一番可能性は感じるんだわ。でもね、なんで馬乗ってんの?
デュラハン:愛馬…
リャナンシー:うるせえ!
まず馬がデカくてこええのよ。撥ねられそうっていう物理的な恐怖になってんのよ。ダンプカーが怖いのと一緒よ? なんならお前の首無いこと一瞬気付かないまであるからね? 馬が目立ちすぎてて。
そんで映画も知らん!
リャナンシー:無名な妖精ばっかり集まってくんじゃねえよ
はじめてこんなWikipedia見たわ
エサソン:えーと誰の立場で喋ってます?
リャナンシー:シーオーク!
シーオーク:……はい
リャナンシー:誰オブ誰?
お前に至ってはWikipediaなかったぞ?
ガンコナー:リャナン・シー!
エサソン:ガンコナーさん?
ガンコナー:なんで俺たちがこっち側に座ってるか解るか?
(感動的なこと言う風)
リャナンシー:……
ガンコナー:あまりにもキャラが薄すぎていじりようがないと判断されたんだよ!
どうにもならないから既に働いてる設定なんだよ!
まだ比較的ネタになると判断されたのがそっち側のお前らなんだよ
喜べお前らはスターだ
シーオーク:でへへ
ガンコナー:お前は違う
リャナンシー:そうだよ無理なんだよ
ガンコナー:なんだほとんど妖精のお化け屋敷って
ガンコナー:ハロウィンだぞ?
ジャック・オー・ランタンとか、ドラキュラとか、ミイラ男とかあるだろ
渋谷見ろ渋谷
ガンコナー:へいむーり!
リャナンシー:ムーリ!
ガンコナー:セイ、むーり!
リャナンシー:ムーリ!
ガンコナー:ヘイウォウウォウウォウ
リャナンシー:ウォウウォウウォウ
レプラ:ケイオス(英語の発音で)
シーオーク:なんで、そんなこというんですか
ガンコナー:ん? 誰?
シーオーク:シーオークです
やりましょうよ、お化け屋敷
やりましょうよ、ハロウィン!
リャナンシー:だから無理だって言ってるだろ
シーオーク:できる!
変われます
僕が、誰も知らない、異国の妖精だってことは分かってました
でも、皆そうなんじゃないですか
誰でもない
誰にも知られていない
そんな人たちの積み上げたすべてが
今を
未来を作って
歴史になっていく
……
ガンコナー:チッ
レプラ:レプラちゃんはやってみてもいいかなー
デュラハン:ぼ、僕も
ケット・シー:そのつもりで応募したしね
プーカ:ひひーん!
レプラ:ガンコナーちゃん。
……
(ガンコナーが何か言いかけたとき)
レプラ:ああ!!!
ガンコナー:うわびっくりした
何だよ
レプラ:あの、
一人足りなくない?
ガンコナー:え?
レプラ:この、変身能力ありって子、いなくない?
プーカ:ひひーん!
ガンコナー:うわびっくりした
プーカ:ひひーん! ひひーん!
デュラハン:どうどう!
グレムリン:うわ危ね
プーカ:ひひひひーん!
デュラハン:落ち着け!
エサソン:みんな止めて!
ケット・シー:ぐはっ
デュラハン、振り落とされる
プーカ:ふうっ……と!
プーカ、馬から戻る
……
ガンコナー:え、あの、どういうこと?
馬に化けてたってこと?
なんで?
リャナンシー:愛馬って言ってなかったっけ?
デュラハン:あの……家に忘れてきてしまって!
ガンコナー:だからって他の応募者に乗るな。お前さっきどうどうって、どういう感情で言ってたん?
プーカ:……ふう。(椅子に座る)
プーカ、皆の視線に気付き
プーカ:……ん?
なんですか
ガンコナー:……あ、ごめんね
あなたは……
プーカ:プーカ。
ガンコナー:プーカさんは、あれなのかな
ずっと隠れてきた登場人物が
混沌とした
レプラ:ケイオス(英語の発音で)
ガンコナー:ケイオスとなった舞台に降臨して収拾をつけるみたいな、そういう、デウス・エクス・マキナ的なあれでは?
プーカ:え、違うよ?
ガンコナー:違うの? なんで隠れてたの?
プーカ:別に? なにもないよ?
どうせ、ただの妖精の僕たちには、できることなんて何にもないんだから。ねえガンコナーさん?
ガンコナー:……
しゃったらああぁぁぁぁ!
レプラ:うわチョロ
チョロすぎて引く
リャナンシー:やるやるってさあ、具体策はあんの?
シーオーク:ゾンビならいけるんですよね?
ガンコナー:まあな
シーオーク:皆さん、一旦殺させて頂いてですね、ゾンビになってもらうとかは?
ガンコナー:こわ
サイコパスでも聞いたこと無い発想じゃん
本日初の恐怖だよ
正解だけど正解じゃないよ
だいたい、俺たち妖精がゾンビになれるのかわからないし、そもそもゾンビになるのってゾンビに噛まれたらとかじゃないの?
お前、ゾンビ化させる特殊能力とか持ってんの?
シーオーク:いや無いですけど
ガンコナー:じゃあ無駄死に確定じゃんやだよそんなの
リャナンシー:はい無理ー
ノーアイデア!
ノー才能!
ノーフューチャー!
ステイチューン!
ヨーメーン? アハーン?
シーオーク:うう……
あ、そうだ!
コンセプトは、ハロウィンなんですよね?
レプラ:そうだけど
シーオーク:僕たちも、一軒一軒ご家庭を廻りましょう
ガンコナー:いや事案だろそれは
シーオーク:ガンコナーさん。僕たちは?
ガンコナー:妖精……
シーオーク:妖精無罪!
ガンコナー:いやいやいやいや
言ったろ、トリートオアトリート言っても誰って言われるんだから
シーオーク:名乗りましょうよ
ピカチュウだってずっと自分の名前言ってるじゃないですか
何回でも、何千回でも、相手が覚えるまで!
ガンコナー:怖い怖い怖い、怖いんだけどなんか種類違うんだよなあ
エサソン:ありかもしれませんね
リャナンシー:エサソン?
エサソン:そもそも、私たちがこの土地で怖がられていないのは、知られていないからです
私たちは、ずっと、人の認識の中に存在してきました
いまや、事実は張り巡らされた電子回路を通して伝わり、想像の入る余地はなくなった
閉じた空間から自然にハエが涌くことはなく、病が瘴気から生まれることはなく、あまねく照らす光が、私たちのいた森の暗闇をも照らし……そこに妖精がいないことは明らかになってしまった
私たちの居場所は、仮想だけになった
いま、私たちを支配しているのはなんだか分かりますか?
ケット・シー:科学?
エサソン:お金ですよ。お金と結び付かないフィクションは、存在していないのと同じです。
だから、私はここで稼ぐことにした
リャナンシー:エサソン……
エサソン:もう一度、闇に紛れ、人を驚かすところから始めて、この存在を確たるものにする。
一から出直しですね!
……
シーオーク:やってみましょうよ!
誰も知らない、僕たちのハロウィンを!
……
リャナンシー:仕方ないね
音楽IN
以下、前のやり取りを待たずに
ガンコナー:お前何ができんの?
グレムリン:機械をツンツンして壊します
あとガソリン飲んだりとか
ケット・シー:きも、発想が迷惑系ユーチューバーじゃん。ワラワラワラって、ウケてんの自分だけだからなそれ
エサソン:私は農作業とか……
レプラ:靴作りなら任せなさい
シーオーク:シーオークは、ケルトに伝わる、ステキな妖精で、とても、こわい、と……
ケット・シー:おい自作自演してるやついるぞ
シーオーク:セルフプロデュースですー!
レプラ:削除依頼ポチー
シーオーク:妖精無罪!
プーカ:(М)それは
何者でもなく
きっとこれからも何者でもない私たちの
レコンキスタだ
音楽音量↑
cut out
全員:トリック・オア・トリート(口々に)
3ヶ月後、お化け屋敷は潰れた
現実(泣笑)
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