『思い出』 作:采

『思い出』

作:采

原案:狐


【CHARACTER】

デュラハン:ツッコミ。

      副音声みたいにツッコミ足してくれたほうが面白くなります。たぶん。

レプラコーン:今とナレーションにしっかり変化をつけたほうが面白くなります。たぶん。

レプラコーン(母):全力で楽しい感じをだしてください。

レプラコーン(父):ノリノリでお願いします。

          笑い声が常に入っていてもいいです。

  

【STORY】



デュラハン:おっ!レプラコーン!

      丁度いいとこに!!

レプラコーン:ん?

デュラハン:ほい、これ土産。

レプラコーン:え?土産?

       どっか旅行行ったの??

デュラハン:あぁ、この間ケットシーとグレムリンと千葉に行ってきた。

レプラコーン:そりゃぁ、なかなかに濃いメンツだね。

       ……へぇ、ピーナッツか。

       良い酒のつまみになりそうだな。

デュラハン:あぁ、そうだろ?

      千葉の名産だからな。

レプラコーン:そういえばさ……ピーナッツを見ると思い出すことがあるんだけど。

デュラハン:うん?なんだ??

レプラコーン:節分ってあるだろ?

       あれさ、地域によっては大豆じゃなくて落花生まくんだよ。

デュラハン:あぁ、聞いたことある。

レプラコーン:うん。

       それでさ、今うちの両親その落花生撒く地域に住んでんだけど……。

デュラハン:え?レプラコーンってアイルランド出身なのに家族全員で日本に越してきてんの?

      しかも、割と地域限定されるじゃん、それ。

レプラコーン:うん。

       それでさ、その節分の時の動画が親から送られてきたんだよね。

デュラハン:うわ、サラッと流した……。

      ーーで?動画ね、どんな??

レプラコーン:これなんだけど……


レプラコーン:豆まきの準備中、落花生の入った袋を持つ母。

       顔の大きさよりも少し小さいくらいのその袋は、口が既に開けられている。

       その袋をエプロンのポケットには入れず、ポケットの外に洗濯ばさみで取り     

       付ける。

       既に漏れる父の笑い声。

レプラコーン(母):「これ、こうやって、ほら、こうやって、ひらくの。」

レプラコーン(父):「おう、おう。ポケットにしたわけね。それで、」

レプラコーン:母が豆の袋から豆を投げると同時に、

レプラコーン(父):「投げる。」

レプラコーン:びたーーーーーん!!

レプラコーン(母):「ア゛ア゛ァ゛ーーーーーッ!!!!!!!」

レプラコーン:無情にも滑り落ちる袋。

       ヒザから崩れ落ちる母。

       散乱する豆。

レプラコーン(父):「(爆笑)」


デュラハン:なんか、微笑ましいというか、仲の良い両親だな。


レプラコーン(母):「ダメだ…まだいっかいしか投げてない…」

レプラコーン(父):「もうこれで鬼に喰われる。」


デュラハン:あ、そこはちゃんと鬼を追い払う儀式としてやってんだね。

      あんたたち西洋の妖精だけどね!

      ちゃんと日本に順応してんのね。


レプラコーン(母):「えーどうしよう、え、すごくよかったのになあ。すべっちゃうのかなー?」

レプラコーン(父):「んー?どうだろうね。」

レプラコーン(母):「この袋さ、内側に折る?」

レプラコーン:もう一度豆の袋を、エプロンのポケットに取りつけようと試みる。

レプラコーン(父):「さあ、……」

レプラコーン:びたん!!

レプラコーン(父):「んっへっへっへっへっ」


デュラハン:あー、もう全然豆まき始まんねぇなぁ!

      どんだけ、準備にかけるのよ。


レプラコーン(母):「ああっ、はは、もう、豆が多いんじゃない?」

レプラコーン(父):「たたかえない。」


デュラハン:戦う気なんだね。

      追い払うとかじゃなくね。


レプラコーン(母):「はっはっは…鬼さんに…負けちゃう…(ハッ)じゃあさ、ここ(ポケット)直接いれt」

レプラコーン:シュッ!シュッ!

       エプロンのポケットから豆を投げるシミュレーションを始める母。

       俊敏だ。

レプラコーン(母):「直接いったらどうだあ?」

レプラコーン:そう言って、ポケットに豆をパンパンに詰め始める。

       その間も、父が小さく笑っている。

レプラコーン(母):「ここにさぁ、ほら。」

レプラコーン(父):「そうだね。」

レプラコーン(母):「うん、そうそうそう。はじめからこれにすればよかった。

           …ほら、これだと(シュッ!)

           よし…へっ。で、反対側(の手)でさあ、」

レプラコーン(父):「うん。」

レプラコーン(母):「カメラ撮れるしょ?」

レプラコーン(父):「うん。」

レプラコーン(母):「(シュッ!)んふっふっふっふ、いいね。おしっ、…用意できたよ。」

レプラコーン(父):「用意できたの。ふーん?」


デュラハン:ここまで結構長かったぞ。

      でも、まぁ、これでやっと戦闘準備完了したわけだ。

      いよいよこれから鬼と戦いに行くわけね!


レプラコーン:ここからはお互いにスマホで撮影し合っている。

       後に2人の動画を合わせたものが子供に送られてくることになる。

       1カメ、2カメである。

       ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!

       突然部屋の戸が叩かれる。

       大パニック、そしてめちゃ足踏みをする母。

レプラコーン(母):「や!や!いや!ちょ、いや、いや、いや、いや、いや、やぁ、いやぁ

           …お父さん、お父さんひどい、そういう約束じゃなかった!」

レプラコーン:ガラガラガラガラ、ドン

       鬼が現れる。

       顔には、子供が保育園のときに作った、絶妙に怖い赤鬼のお面。

       そしてなぜか、時代を感じさせる全身銀色のつなぎ姿。


デュラハン:いやいやいや!あんだけ、前フリしといて、鬼、父親かよっ!

      ていうか、お前保育園の時から既に日本にいたんだな。

      もう、ほぼほぼ日本に染まってるじゃねぇか。


レプラコーン(父):「いうことをきかないこは、いないかなぁー?」

レプラコーン:右手の人差し指を1本立てて、絶妙な身体の角度で入ってくる鬼。

       以降、このセリフを言うときには常にこれである。


デュラハン:まてまてまて。

      ツッコミどころ多いなぁ。

      行事間違ってるよ、父!


レプラコーン(母):「(爆笑)」

レプラコーン(父):「いうことをきかないこは、いないかなぁー?」

レプラコーン(母):「イナイヨ。おにはーそと!」

レプラコーン(父):「あれぇー?いたいいたいー!」


デュラハン:え?これ二人とも酒飲んでる?

      クルッてる状態なの??クルラコーンになってる状況???


レプラコーン(母):「ふくはーうち!」

レプラコーン(父):「いうことをきかないこは、いないかなぁー?」

レプラコーン(母):「おにはーそと!」

レプラコーン(父):「いうことをきかないこは、いないかなぁー?

           ぁ、いたいいたいいたいいたいいたい。

           ぁ、いたいいたいいたい。」

レプラコーン(母):「ふくはーうち!」

レプラコーン(父):「ぁ、いたいいたいいたいいたい。」

レプラコーン(母):「おにはーそと!」

レプラコーン(父):「いないねぇー、かえるねぇー。それじゃまたらいねーん。」

レプラコーン(母):「あ、らいねんもねー、らいねんね、ばいばーい!ふっふっふっふっふっふっ…。」

レプラコーン:部屋の戸の向こう。控え室。玄関。

       父はお面をはずす。

レプラコーン(父):「…どうしてこんな鬼になっちゃったんだろ。」


デュラハン:…………。

レプラコーン:……どう思う?

デュラハン:いや……お前、なんでしっかりナレーション撮りまでしてんの??


fin